ー思い出しながらー
田舎の正月
正月の準備はまず餅つきから始まる。竈に載った大きな釜に水をいれ、水に浸しておいたモチ米(2-3升?)を入れたセイロ(蒸し器)を載せ薪を炊く。2-3回炊きあげたかも。薪はどこからか拾った材木を鉈(なた)で割ってある。台にはなぜか、電車の線路の切れ端があった。臼と杵があり、捏ね方はかっちゃん(母)、搗き方は上の兄貴が多かった。私は失敗して、杵で臼の端を叩いてしまい、木くずがモチ米に混ざってしまったことがあった。
搗き立てのモチはもちろん皆で、あんこ、納豆、きなこ、ごまなどで食べる。一部は買ってあったヤナギの枝に丸くつけて、モチ花を作る。豊作を願ったものだそうだ。2-3段の鏡モチをいくつか作る。残りは四角い箱に入れ、隅まで平に伸ばす。1-2日おいて固まったら、四角に切る。箱の高さが5cmほどのものを、厚さ1cm、長さ10cmほどに切る。モチが固すぎると包丁ではなかなか切れなくなってしまう。長方形の正月のモチとなる。
暮のお掃除をするときは大変だった。畳をみんな挙げて、運んで、日に干し、叩くので、重労働だった。仙台の乾物屋から松前漬けの材料を買うのも頼まれたこともあった。
つぎにかっちゃんん(母)から「港神社に行って正月様を買ってこい」といわれて、正月に必要な飾りもの一式をそろえる。古いものは納めてくる。かっちゃんは近くの店からダルマ、ウラジロ、ミカン、カキ、昆布、大根などを買っていた。
大晦日、ダルマを鴨居の上に取り付けた棚の上に並べる。多いときには10個ほど高さ順に並んでいた。部屋の角にモチ花を据え付ける。仏壇とは別に神棚をつくり、飾りモチ、神様を載せる。玄関に注連飾り、台所に火伏の神様、井戸・お稲荷さん・外便所などに紙垂(しで)を飾る。また港の小さな船に準備して一人行って、紙垂、昆布、塩、コメ、酒をささげた。
みかんなど食いながら紅白歌合戦をみて、近くの寺の除夜の鐘の音を聞く。
三が日はモチづけだ。店は休みだから仕方がない。長四角いモチを炭火で両面焼いて、焦げ目が少しついた状態で、いろいろと食べる。雑煮は醤油で具たくさん。焼きノリは自家製でたっぷりあったので、モチに砂糖醤油にたっぷりつけて、のりを巻い食うのが多かった。ノリをつけずにタレを何度もつけて何度も焼くのが一番うまかった。
鏡開きではお備えしたモチをみな下げる。固くなっているので、金づちで叩いて小さくし、モチのかき揚げになった。中が少し伸びるのがおいしかった。神様に感謝していただくのだ。

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